80なったが、理事や事務スタッフの尽力でTCSカウンセリング教育事業を展開してきた。しかし、財政状況は年度ごとに悪化し経費削減に努力を要した。2015(平成27)年、財政状況改善のために1月に青山の地から神保町の風間ビルへと移転した。当時の理事会の記録には、受講者の激減による財務のさらなる悪化とその対応に追われる常務理事の疲弊について記されている。「講座を工夫して企画したり講師謝金を減らすなど努力しても手ごたえのないこと…」「理事たちは本職をもち多忙な中…」とある。体力のあるうちに閉鎖か縮小かとの議論になっていった。「続けて」という想いのある理事と会員たちで継続の新たな道を模索した。2016(平成28)年には、前理事たちが任期満了で退任。新たな役員体制になりNPO法人CESCの再構築に乗り出す。毎月1~2回集合しては、運営理事で議論し、我々の立ち位置を明確にした。まず、2年ごとの目標を定め、「たがやし」「たねまき」「水やり」と3期6年でリニューアルを行う方針とした。初心と基本に戻りミッション・ビジョン・バリューを話し合い、さらに活動を「学び場」「支え場」「伝え場」「遊び場」の4部門に再編し各事業を展開した。2016(平成28)年、千葉県でカウンセリングを担当していた女性を監禁し、怪我を負わせた「教会立てこもり事件」が起こる。カウンセリングに関わる人々に衝撃を与えた。2017(平成29)年、この年度から新体制の企画運営となる。「学び場」では全国のパーソンセンタード・アプローチ研究者によるPC/EA(パーソンセンタード体験研修)を継続講座として開始する。2018年度、2019年もPC/EAを充実させて開講。2019(令和元)年、小中学校で長期(年間30日以上)欠席した児童生徒が、1991年度に比べ3倍以上に。中学生だけ比較すると4倍になっている。また、児童虐待の摘発件数も2018年度の段階で過去最多の1380件、被害児童は1394人。2020(令和2)年1月に新型コロナウイルス感染症が発生。感染拡大防止対策のため自粛が叫ばれ、4月から開始予定のすべての研修講座が開講不可能となった。5月からは在宅ワークを余儀なくされる。当初は1年くらいで収束すると考えていたが長期化。対面研修が行えないため急慮不慣れなIT・デジタル化を導入し、すべてONLINE研修として9月からの開講に漕ぎつけた。2020年はコロナ禍が長引くにつれ、「♯コロナ疲れ」の発信が増えるなど、心の不調を訴える人も増加。2020年はNPO法人化20年にあたり記念事業「マイク眞木のわたし語りと歌 With繁田千恵」を若者たちの協力を得て企画していたが、延期せざるを得なくなる。実現できたのは、2021(令和3)年4月4日、ONLINEライブ配信での開催であった。2021年、コロナ禍2年目。感染拡大防止対策をしつつONLINEで開講した。そのため神保町のCESC研修室は使用されなくなり財政が困窮。経費削減も視野に入れることなった。CESC新役員体制6年目でもあり今後の体制を模索。ONLINEの急激な波は研修講座のあり方とニーズを変えた。同年11月4日、理事長も務めた繁田千恵が死去した。享年88歳。困難な状況の中で、CESCの大きな支柱を失ったことは関係者に大きなショックを与えた。コロナ禍で全研修が開催不能に
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