8NPO法人カウンセリング教育サポートセンター理 事 箕口 雅博 (立教大学名誉教授) CESC創立60周年を心よりお祝い申し上げます。 私とCESCとのかかわりは、2003年度に開講された専科研修「コミュニティ心理学」の講師を務めさせていただいたことに始まります。この講座は2009年度まで続きましたが、その後は、笈田さんの呼びかけで、高杉さんをはじめ、さまざまな領域で実践に取り組んでおられるCESCの修了生を中心に、少人数の「コミュニティ心理学勉強会」を定期的に開催してきました。この勉強会は、コミュニティ心理学やアドラー心理学の理論と実際を学ぶだけなく、それぞれの実践現場の課題をともに検討し、知恵を出し合って、よりよい実践につなげていく場でもありました。そして、2016年からは運営理事としてコミットさせていただき、現在に至っています。CESCの60年の歴史のなかでは、三分の一の歴史をともにさせていただいていることになります。 先日、1963年に開始され、今年で60年目を迎えるNHK大河ドラマの変遷をたどる番組を見る機会がありました。そのなかで、時代や社会のニーズに応じてドラマの内容・テーマが選択されてきたとの解説がなされていました。 大河ドラマの変遷と期を同じくするCESCも、時代や社会の要請に応じて、その「役割」「ミッション」が変遷してきています。すなわち、カウンセラー養成・教育を主な事業とする東京カウンセリング・スクール(TCS)の時代を経て、専門家に特化した学びの場を提供するNPO法人CESCが立ち上がり、2016年からは、新役員のもとで、「学び場」「伝え場」「支え場」「遊び場」の4部門、5事業を展開してきました。そして、2020年から始まったコロナ禍とその後の社会的ニーズに対応するため、2023年度から事業の再編成をおこない、事務所を移転することにつきましては、皆さまご存じの通りです。 事業の再編成では、「さまざまな心理社会的支援に応えられる実践力の獲得」というCESCのミッションにもとづき、「学び」と「支え」の2部門に絞って事業を展開していきます。私はこれまで、臨床・コミュニティ心理学の立場から、保育園、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、精神障害者授産施設、パレスチナ難民支援NPOなどのコンサルタント、法人役員、苦情解決第三者委員の役割を担いながら、支援活動に従事する専門職・準専門職の皆さんと協働して「支援者支援」活動に携わってきました。こうした経験を活かして、多様な領域で対人支援サービスに取り組んでいる皆さまの「支えあいの場」をプログラム化してみたいと考えています。 「未来は歴史よりずっと長い」という言葉の通り、小さくてもピリッとした存在感のあるCESCをこれからも応援していきたいと思います。CESC創立60周年記念誌に寄せて
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