68 変わらぬ基本方針で20周年を迎える1982(昭和57)年、TCKは創立20周年を迎えた。理事長の横山は20周年にあたって「当初はカウンセリング学習(教育)の組織的な計画や運営などあいまいなままで、ひたすら純粋な熱意と洞察体験にもとづく活動だったわけです。それでも、女性たちの大変な意気込みや、体当たり方式の珍しさなどから、専門の先生方も次々と応援してくださることになり、また時代の要望にマッチしたためか、現在のビル(新築)に教室をもち、より組織的な計画的なスクール活動へと発展していったわけです。その後、スクールにはいろいろと変遷がありましたが、発足当時の基本方針(人間的成長をめざしての体験学習を中心とする)は、今日でも変わっていません」と述べている。この年の受講生は107名。機関誌「スクール」も発刊した。また、心理臨床学の進歩と普及、会員の資質向上と身分の安定を図ることを目的として、日本心理臨床学会が創設され、心理職の国家資格を目指して努力を重ねた。オールスクール合宿や「出会いのグループ」開催1983(昭和58)年にはTCS「OB会」が発足。またこの年、創設からの理事長・横山定雄が逝去した。また同年はアメリカの心理学者カール・ロジャーズが1961(昭和36)年春に続いて来日し、ワークショップを開催。TCSの有志も参加した。翌1984(昭和59)年には、本科コース修了者を対象に新たに研修コースを開設。この年から「出会いのグループ」が始まった。毎月第2土曜の午後、花田倍子と頼住孝子をファシリテーターとして開かれたこの会は、その後、世の中がバブル時代へと進む中で、多くの参加者が集うこととなる。頼住の回想によれば、メンバーの若者が述べた「世の中が騒がしくて狂っているようだ。僕にとってここは『止まり木』です」との言葉が印象的だったという。なおこの会は1999(平成11)年から「グループ友・遊・勇」と名称を変更し、TCS講師(当時)の大沢直美、スクールカウンセラー・片桐明子、精神科クリニック勤務で大学相談室カウンセラー・林さち子、心理相談員・武田光世らをファシリテーターとして2006(平成18)年まで継続された。社会でのカウンセリングの実践を目指す1986(昭和61)年には、TCS公開講座として茨城人間関係研究会所長・大須賀発蔵による「東洋の知恵とカウンセリング」が始まった。カウンセリングの精神と仏教思想を統合したこの講座は、スクール生にも大変評判で、1994(平成6)年まで続くこととなる。また、港区教育センターカウンセラー・井上澄子による「フォーカシング入門講座」もスタート。この講座は1994(平成6)年からは合宿研修としての開催となっている。この頃、スクールの理論面を支えた人物同年はアメリカの心理学者アンドレ・オー博士の講演会「直感力の解放」を開催、山中湖の「グループ・イン・ほりのや」でオールスクール合宿も行われた。同施設は、その後、TCS合宿の定宿として使用されることとなる。1982(昭和57)~1991(平成3)年カウンセリングへの社会的認知の高まりに対応
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