CESC 60周年記念誌「Jump to the furure!」
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6NPO法人カウンセリング教育サポートセンター理 事 野村 毅 (辻堂心とからだのクリニック)運営理事挨拶CESC60周年記念に寄せて 私は1999年から藤沢市辻堂で精神科クリニックを開業しています。私とCESCのかかわりは、1988年から。東京カウンセリング・スクールの研修生として理論講座や、グループ、合宿などに参加して約6年間在籍しておりました。その後2016年からCESCの運営理事をお引き受けすることになりました。東京カウンセリング・スクールの門を敲いたのは、30代の頃でした。精神科医としてどう患者さんと向き合うのかを考えた時に、学生時代に読んだロジャーズ全集のことが心に残っており、ロジャーズのことをより深くより実践的に学べる場所だと思えたからですが、参加するには結構勇気がいりました。研修生時代は、様々な気付き、貴重な体験、良き人たちとの出会いなど思い出を語ると尽きません。60周年をむかえたということは大変なことです。企業でも60年続く会社は少ない。これも先人の方々の努力の賜物だと思います。これからもさらに100年を目指して歩んでゆくことを願っております。 ここ数年の出来事で最も大きかったことは、コロナウイルスの流行による社会の変化ではないでしょうか。CESCもその波にさらされましたが、笈田さんをはじめとする事務局の頑張りで、Zoomを用いたオンライン研修をタイミングよく取り入れることで乗り切れたと思います。私もオンライン研修に参加させていただきましたが、全国の離れたところの人との交流や、心理学の異なる流派の人の話なども聞けてとても刺激的でした。コロナウイルスの猛威も落ち着いてきて今後はリアルでの研修も復活させてゆくことになると思いますが、オンラインのノウハウは今後も生かしてゆかないともったいないと思います。ただオンラインという場所の制約のない形式ですので、もっとたくさんの人に参加していただける方法も考えないといけないと思います。会員の皆さんのアイデアをお聞かせ願えれば幸いです。例えば講師の方々の講演を配信するなどでより多くの人を集めることなどは出来ないでしょうか。 また組織を存続させてゆくためには、若い人たちへどう受け渡してゆけるかも課題だと思います。100年続くためには次の次の世代にパーソンセンタード・アプローチに興味を持っていただく必要があります。個人へのアプローチだけでなく、グループアプローチもできるCESCですから、中学校、高校、大学などで生徒を対象としたグループ療法などを委託という形で受けて、参加した若い人たちにCESCを訪ねてきてくれる人になってもらうというのはどうでしょうか。そのためには広報や営業などの力を持った人に、加わっていただく事も必要かもしれません。 学問的には、ロジャーズは「私をまねるな、私を乗り越えてゆけ」と、釈迦のような事をおっしゃったそうですが、ジェンドリンや、グリンバーグのようなあらたな理論の担い手の登場が待たれますね。私個人としては今はプレゼンスに興味があります。臨床を続けていると、パーソンセンタード・アプローチにはセラピストのプレゼンスだけでなく、クライアントのセラピストに対するプレゼンスも等しくあるように思えます。またプリセラピーにも関心があります。その考え方が施設の中で広く行われていれば、津久井やまゆり園のような痛ましい事件も防げたのではないかと思います。

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