56がすごく実体験としてわかるといったことをずっと続けていて、それが今の仕事になっています。室城 TAで「関係」というと、「I’m OK,You are OK」。その哲学がすごくしっかりしている。お互いが協力し合ってゴールに向かっていくっていうことがはっきりするのがTAの特徴だと思います。笈田 互いに尊重する、それぞれの命や存在を大切にするって、言葉でそう言っても実行するのは難しいですよね。本当に困っている人と対応するとき、実際に面接している中で、人を尊敬することがどの程度できるかはすごく大きなテーマですね。どうしても自分の価値観が出てきてしまいます。TAだと、それをあまり出さないようにできる。関 だから理論って大事じゃないですか。「I’m OK,You are OK」は共通の考え方だけど、それをどう使うか、どう生かすか、どう形にしていくかはクライエントと一緒にやる作業によって全然違いますよね。「I’m OK,You are OK」はシンボルみたいなもので、それをどう体現するかはその都度違うところがあります。でもTAの枠組みがあることで、共通理解できるし、いろんな可能性が広がる感じがしています。笈田 理論を学んで、でもそれにとらわれない。バックにはあるけれど縛られないということが大切なのでしょうね。藤井 クライエントがどう感じているか、一緒にやっている相手がどう感じているか、その都度オープンに話しながらやっていける中で「I’m OK,You are OK」を感じ取るイメージじゃないでしょうか。室城 私が最近すごく大事にしていることは、「OKとは良いとか悪いとかを評価しない。評価せずに自分自身を受け入れること」ということです。 非行した子どもたちが面接で挑発してきたりするとムカッとくるわけです。でもムカッときている自分も自分だし、それをムカッとこないようにしなければいけないみたいにするんじゃなくて、今自分がムカッときていることに対して、この子はそうやって人を怒らせるところがあるな、だけどそれを理解して、その上で、「I’m OK,You are OK」っていうふうに関わっていくことがすごく大事なのではないかと。笈田 双方でお互いにやり取りする中できちっと受け取って、素直に返していく、作り上げていく感じですね。その辺りがTAの魅力かもしれません。室城 TAは人間性心理学ですが、自分を見るための枠組みがしっかりあります。だから自分を見るのにすごく役に立ちますね。TA自体が統合的な心理療法だから、分類するのは難しいかもしれませんね。
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