46さん、担当者としてはどうですか。辻 自分に嘘つかない感じを確かめやすい環境にいて、嘘をつきたくなる自分もいて、どこか同行人としてのときもある。そして何かご一緒できる感じはします。感覚的なものなんですけど。吉原 私自身が2022年の12月に担当した理論セミナーで話したことなんですが、私は卒業論文で「ベーシックエンカウンターグループ体験により自己開示がいかに変化し、自己一致がいかに高まるか」ということを書いたぐらいなので、ベーシックなグループの体験は自己一致を身につけるのに役立つと考えています。これはエンカウンターグループの大きな魅力の一つだと思います。心配している点としては、三つのコースを全部取ることが推奨されていますが、エンカウンターグループの意義が一番わかりにくいと思うんです。ベーシックエンカウンターグループがPCAのカウンセラートレーニングにどう役立つのか、PCAを知っていてもよくわからないという人がいると思うので、この座談会を通して少しでも雰囲気が伝わればいいなと思っています。諸富さんや小林さんにとって、エンカウンターグループの体験がどう活きているのかを話していただけると、何かわかるんじゃないかなと思います。諸富 エンカウンターグループの参加者体験で何が良かったかというと、人生の問題に直面しているときに、「ちゃんと一緒にいてくれる」という感じを得ることができるのが一番大きなことですね。 傾聴のトレーニングだと、どう返そうかとか考えちゃう。でもグループは、自分が発言しなくてもいい、特に何も発言するわけではないけれども、しっかりと気持ちがそこにあるんです。笈田 私も最初にカウンセリングの勉強したのがエンカウンターグループだったんです。理論も知らずに週に1回3時間、年間36回を2年ぐらいやったんですけど、途中で、いったいこれは何なんだと思ったことがあります。みんなが好きなことを言って、それが全てOKだったんです。 それからある程度経って振り返ったときに、何にも決まっていない、場所と時間とメンバーだけ決まっているという、これは自由という不自由に突き落とされたんだと思ったんです。すり鉢の中でいくらあがいてもはい上がれないみたいな感じだったんです。そういうときって結局自分の持っているものが全て出るわけですよ。何にも枠がないと、私のやり方を出すしかないんですね。 そんなところで、本当に自分って何だろうって思い出してくると、自分が見えてくる。メンバーからの応答で、そういうことなんだよねって見えてくることがたくさんあったんです。1年間グループをやったら、私は鬱が治ったんです。すごく楽になったんです。だから、グループメンバーとかグループの力ってそんな感じなんじゃないかな。そんなこともしっかり味わえていけたらいいかなと思っています。パーソンセンタード・カウンセリング 今後の展開村里 エンカウンターは、多分優れた現代的なやり方だと思います。認知行動療法は科学を意識しているので、研究する自分と対象を切っちゃうんですよ。僕が認知行動療法を受け入れようと思ったのは、山上敏子さんに会ってからなんですよ。彼女があのウォルビー先生の部屋
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