44ンセリングや臨床に入ってきて、それまで哲学、その前は西洋史、その前は経済学をやっていて、その後臨床心理学も大学でしばらく教えていました。定年退職して、今は宇都宮で心理臨床のカウンセリングルームを開いています。 今小林さんが言われたことに関してですが、「自分と自然は一つである」とジェンドリンが『プロセスモデル』という本で言っていますね。それを別の角度で言っているのが道元です。『正法眼蔵』で「仏道をならふといふは、自己をならふなり。自己をならふといふは、自己をわするるなり。自己をわするるといふは、万法に証せらるるなり」。「万法に証せられる」とは、自然がそれでOKという意味なんです。 自分が本当の自分になるという体験は自分と自然は一つのものであって、自分が死ぬのは問題じゃなくなると思うんです。ですから悪いことは何も起こらない。 そういうところも一緒に勉強しながらもう少し我々なりに深める、確かめる、理論化することは可能じゃないかしら。吉原 麗澤大学で学生相談室のカウンセラーをしている吉原です。私がイギリスのイーストアングリア大学大学院で受けてきたコースをモデルとした、PCAの考えに基づいたトレーニングコースが日本で開講すること自体を楽しみにしております。また、このコースに講師の一人として関わる機会をいただいたことをありがたく感じております。 諸富さんの話の中で「自己没入的」という話がありましたが、「自己没入」できるときとできないときがあると思いながら聞いていて、自分の中に不安があると難しいなぁ…と思っていました。エンカウンターグループを担当するので、自分に向き合うということはグループの中でやっていき、人と人が自分に向き合う姿を目にすることを通して、自分も向き合っていく勇気をもらえると考えております。私がイギリスのトレーニングコースでグループの中で体験したのは、まさにそういったものだったと思っています。 自分に向き合うことは大変な作業だと思います。グループだと人がたくさんいて難しい部分もありますが、グループの持つエネルギーとかパワーはすごく大きいので、安心して自分に向き合う場をグループの中で提供していけたらと思っています。そして、私 自身も自分に向き合う体験をこのグループでしていけたらいいなと思っています。辻 辻孝弘です。今は東京医科大学で、医学生・看護学生の学生相談を担当しています。50歳になって半世紀生きたなっていう感じがあります。諸富さんが傾聴のお話をされていたときに、生きることは「同行二人」という話がありましたが、それはすごい言葉だと思います。 自分が臨床家として1人の人間として壊れそうなときに、パーソンセンタードを軸とする方に聞いてもらいました。そのとき、自分と一緒にいてくれたなという感じが今も体験として残っています。そういう雰囲気の中で自分が自然に育ってきたイメージがあります。PCAは技法を超えたイメージがあります。皆さんとも、イメージを共有できたらとても素敵だなと思っています。傾聴とは違うエンカウンターグループの効果村里 エンカウンターグループはコースの3本柱の一つで、受講生が何を学ぶのか、ジェニュインネス、コングルーエンスを身につけられるという気がしていたんですけど、吉原さん、辻
元のページ ../index.html#44