CESC 60周年記念誌「Jump to the furure!」
42/96

42ただ、そのときに1人で歩くのと、一緒に歩んでくれる人がいるのでは大違いだ」と言った。 同行二人というのでしょうか。ロジャーズもそこを引用して「それがカウンセリングだ」と言うのです。つまりパーソンセンタードのカウンセリングは、内的な人生の旅を一緒に歩むことです。それがパーソンセンタードの魅力だと、ロジャーズの言葉を読んで改めて思っています。 パーソンセンタードを現代の文脈にどう位置づけ直すかというと、キーコンセプトの一つは「対話」だと思うんです。 後悔しないように生きるためには、自分自身と対話する必要がある。パーソンセンタードが他と違うのは、内側に深く入って、カウンセラーとクライエントが一定の距離を保ちながら、人を理解するというんじゃなくて、人の内側に入って没入して、相手の内面世界に自己を投げ入れて話を聞くような感じ。そこは一緒にされては困るとあえて言っておきたいですね。小林 小林孝雄です。文教大学で教授をしております。今回は傾聴訓練を諸富先生とともに担当する予定です。 「自己投入」は現象学の木田元さんが「移入するのは感情だけじゃないんだから、自己移入とか自己投入的理解のほうが日本語にはふさわしい」と言っています。CESC60周年記念座談会①パーソンセンタードというカウンセリングの魅力は何か笈田 CESCの創設60周年にあたり、いろんなことをまとめておこう、今後について前向きな形で記念誌を作りたいと思いました。ちょうどパーソンセンタード・カウンセリング・プラクティスコースが始まるので、その魅力・良さ、カウンセリングを今後どうしていったらいいか、および先生方の抱負を語っていただきたく、よろしくお願いします。 私は村里先生と一緒に面接法で関わらせていただく笈田です。この座談会の進行役をさせていただきます。まず、諸富先生から、先生にとってパーソンセンタード・カウンセリングの魅力、もしくは先生が今とても大切にしていることはなんでしょうか。諸富 諸富祥彦です。明治大学の教授をしています。 残りの人生を悔いなく生きたい、でもどうしていいかわからない、このままじゃ死ねない、と多くの方が言います。 ロジャーズの口述伝記に記されていますが、あるクライエントさんが「人生というのは先が見えない。どこに行ったらいいかわからない。自分でもどこをどう歩めばいいのかわからない暗い森の中を1人で歩んでいるようなものだ。「パーソンセンタード・カウン セ魅力を語る

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る