4NPO法人カウンセリング教育サポートセンター代表理事 笈田 育子代表理事挨拶60年の時の流れを想う 特定非営利活動法人カウンセリング教育サポートセンター(NPO CESC)の母体である横山カウンセリング研究会が南青山の地で誕生したのは、1962年。それから60年、人間で言えば還暦を迎えたことになります。 60年の歴史に、私、笈田は39年間関わってきました。その始まりは1984年NPO CESCの前身、東京カウンセリング・スクール(TCS)のベーシック・エンカウンター・グループ(BEG)メンバーとしてでした。そして、1991年から事務局員、1995年から2006年3月までは事務局長を務め、事務局長を退任した後は理事として名を連ね、現場を離れました。その10年後の2016年、前常務理事全員が役員を退任。笈田が代表理事として復帰し、新執行役員でCESCを担い現在に至っています。39年の長さは我が人生のほぼ半分。この時の流れを思うと感無量です。「よくここまで持ちこたえてきたなぁ……」と。 TCSに出会った1984年当時、私は30代半ば。ファッション・モデルの仕事と今後の生き方に迷って、何か学ばねばと必死で探していました。そんな私の目に“カウンセリング”という文字が光って飛び込んできたのです。それは、前年に繁田千恵さんから頂いたTCSのチラシの文字でした。 さっそく電話をして、故・河野清前事務局長の「とにかく、やってごらんなさい」の言葉に背を押され、週1回3時間、年36回のBEGに参加しました。これが「カウンセリングという底なし沼に足を踏み入れた」なれ初めでした。 BEGでは厳しく辛い局面もありました。体験的学びであるBEGは自分を知ることや他者を知ることなどに有効な道具ですが、諸刃の剣でプラス・マイナス両面を持っています。が、このままでは終われない感じがあり、分かりたい一心で参加して体験し続けました。 その他理論講座での、飯塚銀次先生の「感情は大切ですぞ」の一言は目から鱗でした。渡邉考憲先生の人間論、橋口英俊先生の論理療法、福沢周亮先生の一般意味論……乾いた砂地に水が染み込むように私の心に流れ込んできました。BEGの体験的学習と理論学習が相まって腑に落ちる理解へと向かい、私を変化させていきました。そう、「カウンセリング学習は私のカウンセラーであった」と言えるでしょう。 この時の濃密で充実した、でも少々デンジャラスな経験が私のCESC運営の原点なのだとつくづく実感します。学んでいる私と管理運営を担っている私が縄を綯うように一体化して今日まできています。 会社勤めの経験も事務業務の経験もない、ただ熱い想いと責任感のみの私が事務局長として組織運営を担ったのですから、試行錯誤の連続でした。そのお手本は、故・河野前事務局長の謹厳実直、偽らず正直な姿勢と仕事ぶりでした。人の弱みにつけこんで、耳ざわりの良い言葉で勧誘しないという姿勢になったようです。それは経営という意識の薄さに繋がったかもしれません。会社(組織)経営という世間の荒波に漕ぎだしていく怖
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