37その後、福祉や心理の資格を取ることで少しずつ他での仕事を増やしながら、自分の世界が広がっていく喜びも感じることができました。でも、原点はいつもCESCで学ばせていただいたものにあり、それは知識中心の勉強では身につかない貴重な学びだったとあらためて思います。これからも日々の仕事や研修を通じて、先生方や他の相談員の方々の力をお借りしながら精進していきたいと考えています。CESCは人との出会いの場でもありました。卒業した後も勉強会という形で定期的に学び合ってきた先生や仲間とは、心理の勉強だけでなく個人的な悩みも仕事での迷いも分かち合ってきました。皆それぞれの分野で傾聴をベースにした姿勢を活かしています。最後になりましたが、長年にわたるご厚情に感謝申し上げますとともにCESCの今後のご発展を心からお祈りいたします。相談員私がCESCで学び始めたのは約20年前、昼間通学できるクラスが開設された頃のことです。それが今思えば、「聴く」ことで人と繋がる、支えの一助になることを目指していた私のはじめの一歩でした。そしてCESCが受託した自治体の相談室に声をかけていただいたことが人生の大きな転機となりました。相談員 私は発達障害者の自助グループに関わっていたため、相談員として然るべき資格が欲しくてカウンセリングの勉強を始めました。20年位前、青山で勤務していた私は、『こころの科学』という雑誌にあった広告を見て、TCSの受講生になりました。初級カウンセラー資格を得たものの、資格で実際の相談員が務まるものではないと知ったのは、相談の現場に立ってからです。 自分の経験や知識と情報を伝えたいあまりカウンセリングよりコンサルティングになってしまう……そんな自分の癖を活かしつつ、傾聴の基本も忘れない、自分に無理のない姿勢で相談者の話に向き合えるように、短期療法なども学んで、いつの間にか20年です。縁あって「支え場」のお手伝いに参加し、CESCの60周年にも立ち会うことができました。 発達障害のグレーゾーンである家族を持ったことで、人はそれぞれ脳機能が異なり、物の見方・考え方や感覚が違うことを教えてもらいました。自分を知り、相手を知ることが対話の足掛かりと思います。CESCの傾聴修練は、他資格の講座を経験してみると、重要な「学び場」であると判ります。他の組織との差別化を徹底するのは、今後の存在価値を守ることになると思います。CESC創立60周年に寄せて東京カウンセリングスクールとの出会い
元のページ ../index.html#37