28青山メンタルへルス代表 山梨英和大学名誉教授窪内 節子 この度、CESC(NPO法人カウンセリング教育サポートセンター)が創立60周年を迎えますことを心よりお喜び申し上げます。同時に、カウンセリングが相手の話を黙って聞くという側面だけが強調され、誰にでもできる行為との誤解を払拭するために、新たな体制構築に向けて、活動していく予定のCESCの方向性に賛同支持したいと思います。 そもそも精神分析的心理療法を行う私がCESCに関係することになったのは、久能徹氏が同窓生のよしみから声をかけて下さったことが始まりでした。正直なところ、CESCはRogersの創始した来談者中心療法を基盤としたカウンセリング教育を行う所ですので、私に何ができるのか躊躇しましたが、熱心に進めて下さったこともあり、私の師である精神分析医の土居健郎先生の著作『方法としての面接』をテキストに講義を行いました。その際、現理事長の笈田育子氏、高杉葉子氏、古郷俊朗氏らといったある意味CESCの中心的な方々が参加して下さり、その講義を通して親しくなることができました。 その後、コロナ禍のために講義は継続していませんが、私には、立場の違う心理療法を行う方々とのやり取りは興味深いものでした。また、講義参加者は全員現役のカウンセラーの方たちでしたので、私が未経験の現場でのカウンセリングの有様を聞くこともでき大変有意義な場所でもありました。その後、幸いにも現在までカウンセリングの立場は異なるものの、個人的な関係は続いていますので、ばと考えています。 ところで、現在私は、青山メンタルへルスという私設心理相談室を運営しています。運営してきて見えてきたことは、心理的ケアを求めている人は多数いるものの、その方たちのニーズを読み、それへの対応にかなりの専門的な知識・経験が求められていることと、料金的な問題の解決が求められているように思います。CESCが2023年2月から、カウンセラー養成のスクール事業からの脱却と専門性に特化した研修事業へと再編を図っていくということは、先に挙げた問題点の解決の一歩と考えられ、そういった意味でもCESCの今後に期待しています。 今後様々な困難が待ち受けていると思いますが、創立60年が新たな展開点となり、さらなる発展に繋がっていくことを心より願っています。CESC創立60周年を迎えて今後連携等の機会があれば、協力させて頂けれ
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