CESC 60周年記念誌「Jump to the furure!」
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23文教大学教授小林 孝雄 東京医科大学辻 孝弘CESCとの関わりはまだまだ浅い方になります。 私自身は、25年以上前、大学院生時に日精研心理臨床センターでカウンセリングの訓練を開始しました。日精研は、CESCの前の事務所にほど近い千代田区九段にあり、CESCの前身TCSには、当時ともにカウンセリングの振興と人々の豊かな人生実現のお手伝いにあたっている仲間という感じを抱いていました。 日精研は、今ではすでにカウンセリングからはほとんど手を引き、世の中における「カウンセリング」という言葉の存在感もずいぶんと様子が変わったように思います。かつて日精研の「傾聴訓練」講座には、さまざまな年齢や立場の人が、カウンセリングに期待を抱いてたくさん集まってきていました。いつしかカウンセリングは大学院教育と直結し、多様な人々に民間の機関が提供していたカウンセリングに触れる良質な機会は激減してしまいました。 このような時代の流れの中、CESCが60周年を迎えたことは、とても素晴らしいことだと思います。今後とも、微力ながら、カウンセリングの素晴らしさを世の中に伝えるお手伝いをしていきたいと思います。 創立60周年おめでとうございます。数年前からCESCの理論講座を担当させていただき、 この度は、CESC創立60周年まことにおめでとうございます。 カウンセリング教育における先達の技術の積み重ねだけでなく、その本質である態度姿勢が雰囲気として引き継がれている60年であると理解しております。そうした無形の価値に明かりを灯し続けてこられた方々にありがたさを感じざるを得ません。 私の日々の臨床では、コロナ禍を経て、人と人との関係をうっすらと怖がる方が増えたように感じています。その背景には、他者と安心して話し・聴き合う関係とその体験が不足していることがあるように思います。安心した深い人とのつながりは、見聞きするより自身の体験から感得されるため、その体験にかける先達のエネルギーを想像するに頭が下がる思いです。 CESCは、その使命を担い続ける方々の集まりであり、その人をありのまま尊重することに価値を置く学びの場であると思います。気候変動や旧来の資本主義の破綻、若者の自殺や虐待の増加を挙げるまでもなく、人が人によって大切にされることの価値を伝える上でこれほど重要な時代はないのではないかと思います。 この度、ベーシック・エンカウンターグループのスタッフとしてその一端を担い、皆さんと共に学び場に身をひたすことができるのを楽しみにしております。 CESC創立60周年に寄せてCESC創立60周年に寄せて

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