CESC 60周年記念誌「Jump to the furure!」
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16法政大学教授末武 康弘  CESCの創立60周年、おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。 私とCESCの前身である東京カウンセリング・スクールの関係は少々不思議なもので、松原達哉先生、増田實先生、穂積清美先生、繁田千恵先生、井上澄子先生、用田宗人先生ほか多くの先生方と親しくさせていただいたにもかかわらず、またこうした先生方の何人かからはスクールの講座を担当しないかとのお誘いを受けたこともあったのですが、なぜかいつも都合が合わず、東京カウンセリング・スクールに足を踏み入れたことは一度もありませんでした。 私がCESCと近しい関係を持つようになったのは笈田育子さんが代表理事を務められるようになってからです。熱心に声をかけてくださったので、PC/EA(パーソンセンタード/体験的アプローチロート)の講座を部分的に担当するようになりました。神保町のCESCの部屋は明るくて開放感があり、受講者の皆さんの真摯な学習意欲も伝わってきて、充実した講義を行うことができました。また神保町という場所柄、講座の修了後に外に繰り出しての乾杯が楽しみでした。コロナ禍になってその楽しみが味わえなくなったのは残念でしたが。今後は五反田に場所を移して事業を継続されるとのこと、益々のご発展を祈念しています。 60年という月日は、人で言うと還暦にあたります。原点に返り、新たに次の歩みを始める起点と言うことでしょうか。 論語では60歳は耳順です。以前の私は、40歳の不惑、50歳の天命などと比べると、60歳の耳順(耳したがう)は何かささやかな人生の課題のように思えて、孔子が何を言いたかったのかよくわかりませんでした。しかし、自分が還暦を迎えた前後に、いかに人の話を聴くことが難しいかをあらためて感じ、耳順(人の話に耳を傾けること、いわゆる傾聴)の奥深さを痛感した次第です。 傾聴はCESCの基本理念の1つだと思います。創立60年を経て、本当の意味での傾聴の重要性を多くの人たちに伝えていってほしいと願っています。CESC創立60周年に寄せて

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