15学会の重鎮や現場のベテランから新進気鋭の研究者まで……日本のカウンセリング界の錚々たる専門家・CESC講師陣からのメッセージ。法政大学名誉教授清水 幹夫 (掲載順不同) この1月に、東京カウンセリング・スクールの発展型として発足した現在の「NPOカウンセリング教育サポートセンター(CESC)」が創立60周年を迎えたこと、“カウンセラー養成事業”から脱却し、時代に即した専門性の高い研修事業と「こころの相談室」の充実を図るという“学び”と“支え”に特化した事業を展開するという理事会からのお知らせを受理しました。 私が大学(農学部)を卒業して、東京農業大学の教職課程の助手になったのは1967年、25歳の時でした。主な仕事は、教員免許を取得しようとする学生たちの相談でした。教職課程の3人の所属教授たちは、当時のクライエントセンタード・カウンセリングや行動主義的カウンセリングで日本のカウンセリングの発展に深く関わりを持っておられていたこともあり、教職課程に「学生相談室」を開設していました。当時のことですから特に資格もなく、私は助手として採用されたその日から教職課程に併設されていた「学生相談室」の管理と“カウンセラー”の仕事も命じられていました。 農学部出身の私には、カウンセリングの心理的・専門的知識は全くありせんでした。当時の教職課程主任兼学生相談室々長が飯塚銀次先生であり、そのこともあって渋谷の青山にあったTCSによくカバン持ちで同行していました。飯塚先生はTCSでカウンセリングの講義を持っていたことから、時々カウンセリングの演習をお手伝いしているうちに、カウンセリングに関心を持つようになり、本格的にカウンセリングを勉強しなければと思うようになりました。TCS近くの大学の学部(文学部)と大学院(臨床心理学専攻)を終え、この頃から勤務校やTCSで講義や演習を持たせてもらうようになり今日に至っています。 そういった訳で、TCSは私の若い頃に「カウンセリング」「臨床心理学」「エンカウンター・グループ」などの理論と実践を一般の方々を対象に講義したり演習をしたりしながら体験的に教員としての資質を養う機会や、今日まで一貫した専門領域に取り組み続けてくるきっかけを提供してくれた組織として感慨深いものがあります。 2023年2月22日から、それまでの活動の中心だった4部門5事業を、時代に合わせてSNSを最大限生かし「学び」と「支え」の2大部門5事業に再編成を行うとのこと。新事業所で始まる新事業計画への期待と抱負が現実的、着実に発展することを心から願っています。寄稿 | 講師陣からCESC創立60周年に想うことCESC60周年に寄せて
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