14NPO法人カウンセリング教育サポートセンター監 事 鈴森 剛志 (医療法人社団慶生会 滋慶トータルサポートセンター センター長) この度、NPO法人カウンセリング教育サポートセンターCESCが創立60周年を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。CESCは1962年に、その母体である横山カウンセリング研究会として発足以来、心理的・社会的な問題に向きあうという使命感を様々な活動に還元されてきた歴史があります。その一部に触れた身として感慨深く、お喜び申し上げます。 さて、私がCESCの学びの徒となったのは今から24年前の1998年です。当時の私は専門学校における学生相談室の設立を単独で企画し実行していました。振り返ると、専門学校は大学と違い学生相談室の歴史もなく、前例が皆無の中で随分と無謀な挑戦であったと思います。当然の如く相談室設立後すぐに行き詰まりを迎えました。思いのほか相談者が溢れ、多種多様なケースに翻弄されたのです。こうした背景から藁をも掴む思いでCESCの門を叩いたのを今でも覚えています。 CESCにおける学びの中で私の臨床を支える基盤になったのは、非構成のエンカウンター・グループです。特に山中湖での合宿は忘れられない体験となっています。私の一言が火種になりグループ全体を巻き込んだ侃々諤々の議論が展開されたのです。その刺激に胃痛が続き、身体化に耐えながら戦った3日間でありました。 しかし、あの時戦った相手は自分自身であったと思います。他者の在り方のひとつひとつに反応する自分が居ました。わかってもらいたいと願う自分、他者に迎合して嫌われまいとする自分、怒りに震える自分、一言の暖かさに涙が溢れた自分。次から次へと出てくる自分は防壁を粉砕し真の私自身に出会おうと迫ってくる。まさに戦いであり、自身を見つめることとは、なんと厳しい作業であるかと身をもって体験させられたのです。カウンセリングとはそうした自身と向き合う営みであるならば、クライエントを孤独にする表面的な寄り添いではいけない。そんな思いを浮かび上がらせてくれた山中湖の合宿は、私にとって臨床の核となるものを授けてくれた大切な体験でした。 CESCの歴史には、こうした人の核を育ててきた側面があるように思えてなりません。創立60周年を機に時流も取り入れながら次のステージに向かうことと拝察致します。末筆ではありますが、活動のフィロソフィーである「今を生きる人たちのために」が、これまで以上に体現されることを祈念して、お祝いの言葉とさせていただきます。CESC創立60周年を迎えて
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